少子高齢化が進み、婚姻件数も減少する中、「結婚相談所で独立開業して大丈夫?儲かるの?」と思う方も多いのではないでしょうか。今回は結婚相談所で開業を考えている方のために、年収や必要資金など気になるポイントを解説します。
結婚相談所で開業!年収や必要資金など気になるポイントを解説
結婚相談所を取り巻く環境
2019年の婚姻件数は599,007件で、2018年と比べると若干増加しましたが、2009年と比較すると約10万件減少しています。また、平均初婚年齢に近い20代後半~30代前半の人口も約1300万人と2009年と比較すると約300万人減少しています。
この数字だけを見ると、結婚相談所ビジネスの潜在顧客は減少しており、開業しても厳しいように思えます。しかしながら、近年結婚相談所を含めた婚活サービスの利用者は増加しており、婚姻者のうち婚活サービスを通じて結婚した人の割合は、2009年は2.9%(推計2万件)に対し2019年は13.0%(推計7.8万件)と大きく増加しています。
偶然の出会いに期待するよりも専門サービスを利用したほうが効率がよいと考える人が増えていることが背景にあるといえ、コロナ禍で不要不急の外出が制限される中、その傾向は強まっているといえるでしょう。
結婚相談所は現在も成長途上のビジネスで、新規開業に適しているといえます。
結婚相談所の年収は?
では、結婚相談所を開業するとどのくらい「儲かる」のでしょうか?気になる年収や利益についてみていきましょう。
結婚相談所を独立開業した際の収入
結婚相談所の収入源は、主に「入会金」「活動サポート費」「月会費」「お見合い料」「成婚料」の5種類から構成されます。
入会金
会員の入会時に支払われる収入。システムへの登録・事務手続き等に対していただくものです。30,000円が相場です。
活動サポート費
会員の活動開始時から支払われる収入。お見合い調整やご交際・ご成婚に向けた活動へのサポートに対していただくものです。70,000円が相場です。
月会費
会員の毎月の活動に伴う収入。会員1人あたりの平均活動期間は1年半前後です。10,000円が相場です。
お見合い料
会員のお見合い1回につき支払われる収入。IBJ全体の毎月のお見合い成立数は約70,000件です。5,000円が相場です。
成婚料
成婚に至ったときに頂戴する成功報酬。早い方では入会から5ヵ月目でご成婚される方もいらっしゃいます。200,000円が相場です。
その他の収入
その他にも、会員限定パーティーへ参加した際に支払われる「パーティー参加費」や、各種サービスや商品を会員に紹介した際の成功報酬などから、収益を得ることも可能です。
結婚相談所を独立開業した際の支出
結婚相談所の支出には、以下のようなものがあります。
事業所の家賃や土地代などの固定費
もし独立当初から事業所や事務所を借りてビジネスを始める場合には、オフィスの家賃や土地代といった固定費が発生します。自宅を事業所としてビジネスをスタートする場合には問題ありませんが、最初から場所を借りてビジネスを始める場合には注意が必要です。
またスタート時点から人を雇ってビジネスをする場合には、人件費も見逃せません。開業当初に思うように収益が生み出せなくても、雇用した人に対しての報酬は毎月支払う必要があります。これらの固定費をきちんとまかなえるように、十分な貯金を用意しておきましょう。
スタッフの人件費
自分以外にスタッフを採用する場合には、人件費がかかります。開業当初は会員も少ないですし、オーナー1人でも運営可能です。
商品開発や仕入れ、広告にかかる費用
事業を拡大していくときには、商品開発や仕入れ、広告にかかる費用を計算しておく必要があります。とくに短期間で自社の規模を拡大していきたいと考えている人であれば、お金を使ってビジネスのスピードを加速していくことが大切です。
仕入れや商品開発が不要なビジネスで開業する人はあまり気にする必要がありませんが、技術開発や製造などの業種で起業する方や、飲食店のフランチャイズなど初期投資が必要な業種で起業する方はしっかりと貯蓄を増やしておきましょう。
結婚相談所の連盟に支払う費用
IBJに加盟する場合、加盟金として個人1,600,000円(税抜)、法人3,200,000円(税抜)が必要です。加盟金の分割払いをご利用すれば、自己資金0円でも開業することができます。
継続的に発生する経費(ランニングコスト)は、以下が全てとなります。(2021年8月時点)
【ネットワーク月会費】15,000円/月+3,800円/スタッフ1名あたり(=オーナー1名での開業なら18,800円)
【新規データ登録費】2,000円/会員1名あたり
【会員活動費】750円/会員1名あたり
前年度収入に応じた保険料などの支払い
独立開業してから支払い額が大きく感じられる支出の中に、保険料の支払いなどが挙げられます。会社員として給与をもらっている時には天引きされているためあまり意識しませんが、毎月の収入には一定の税金がかかることに要注意です。
とくに保険料に関しては前年度の収入額に比例した金額が1年間発生します。独立開業すると一時的に収入が減る人が多いですが、保険料に関しては前年までの会社員としての給与額に比例して支払いが発生するため、ご注意ください。
起業で得た所得に応じて、所得税や法人税も発生する
起業一年目にかかる費用としては、一年間の所得に応じて発生する税金も要チェックです。ビジネスで発生した利益はそのまますべて収入になるわけではありません。所得額に応じて一定の割合で、所得税や法人税などが発生します。
会社員時代には税金が給与から自動的に天引きされているため、税金がどれくらい掛かっているかが感覚的に把握しづらいです。独立した後は、所得に応じた税金がいくらかかるかをきちんと算出し、無理なく事業を運営していくことが大切になります。できれば、起業前に立てる事業計画の中で税金の支払いまでを含めたビジネスプランを設計できていると理想的です。
その他の経費
会員と連絡を取るための電話料金、インターネット利用料金などが必要となりますが、上手にプランを選べば月数万円程度で収まるでしょう。
具体例
先ほど例に挙げた会員数20名程度の小規模相談所をオーナー1人が自宅で開業した場合、月のコストは以下の通りです。
【ネットワーク会費】18,800円
【新規データ登録費】2,000円×1名=2,000円
【会員活動費】750円×20名=15,000円
【通信費・その他】50,000円
⇒月間85,800円、年間1,029,600円
実際の収入は?
実際の収入は、上記のそれぞれの料金がどのくらい発生するかによります。開業直後は入会金の割合が大きく、会員が増えることによって徐々に月会費が増え、会員同士のお見合い、さらには成婚に至るのが理想でしょう。
ただ、結婚相談所の連盟に加入している場合、自分の結婚相談所の会員は1人であっても連盟に加入している他の結婚相談所の会員とマッチングさせることができれば、お見合い料・成婚料が発生する可能性があります。
会員数20名程度の小規模相談所の場合、月次で新規入会者が1名、お見合いが20回、成婚者が0.5名(2ヶ月に1名)と想定すると、収入は以下の通りとなります。
【初期費用】100,000円×1名=100,000円
【月会費】10,000円×20名=200,000円
【お見合い料】5,000円×20回=100,000円
【成婚料】200,000円×0.5名=100,000円
⇒月収500,000円、年収6,000,000円
結婚相談所の開業時に必要な資金は個人事業主と法人で異なる
結婚相談所を独立開業してビジネスをスタートさせるために必要な費用は、個人事業主の場合と法人の場合で異なります。また、個人事業主として始めた結婚相談所を途中で法人化することも可能です。まずは、事業形態によって異なる資金について確認していきましょう。
個人事業主として開業する場合、開業自体に費用はかからない
個人事業を開業してフリーランスとして活動していく場合、開業手続きの段階では費用がかかりません。個人事業主としてビジネスを開始する際には、開業に関するいくつかの書類を税務署に提出するだけで大丈夫です。初期費用が発生する法人設立と比較すると、小資本からでも始めやすいのが個人事業の特徴です。
なお、個人事業の開業には費用が掛からない分、事業としての社会的な信用度は法人と比べて不利になる傾向があります。大手企業の中には、法人のみと取引を行い、個人事業主とは取引してくれない会社もあるためご注意ください。
法人として開業する場合、資本金や手数料、登録免許税が必要になる
会社を設立することで、会計や税制面でメリットがありますが、0円では無理なので注意しておきましょう。法人として開業したい場合には、会社を設立するための自己資金を貯めておくべきです。必要な費用について詳しく解説します。
資本金
開業する際、法人を設立する形をとる場合には資本金が必要になります。資本金は実際に事業を運営するためのお金としての役割のほかに、会社を設立する際の定款という書類にデータとして記録される役割も持つものです。
会社設立時に事業用口座に振り込みを行う資本金ですが、このお金は実際に事業を運営する際に使ってよい運転資金となります。事業を開始した直後はまだ売上や利益が発生していませんが、商品開発や営業、販促といった活動にはお金が必要です。そこで、ビジネスが軌道に乗るまでの最初の資金として資本金を活用する形となります。
なお、会社の銀行口座に振り込んだお金は事業用に使うことが前提になるため、社長だからといって私用に自由に使うことは控えたほうが無難です。税金の算出の際に作業が煩雑になってしまうため、法人口座のお金はあくまでもビジネスのために使用しましょう。
登記申請手数料と登録免許税
会社を設立するためには、法務局に登記申請をする必要があります。登記申請は専門家に依頼しなくても法務局に相談しながら自分で行うこともできますが、手数料や登録免許税がかかるため、資本金だけ用意しても会社を設立することはできません。株式会社を設立するのに必要な費用は以下の通りです。
定款の認証手数料:50,000円
定款に貼付する収入印紙:40,000円
定款の謄本交付手数料:謄本1ページにつき250円。通常は法務局提出用と保管用で2通用意するので、定款が4ページであれば250円×4×2=2,000円
株式会社設立のための登録免許税:150,000円(資本金の額の0.7%と150,000円のいずれか大きい額)
上記は紙ベースの定款の場合の費用で、電子定款を利用すると金額が若干異なりますが、おおむね250,000円程度の費用が必要となります。合同会社の場合は、定款認証が不要で、登録免許税も60,000万円なので、100,000円ほどで設立することができます。
結婚相談所の開業時に用意しておきたい貯金額の目安
起業前に準備しておいた方がよい貯金額は、独立開業する時にどのような形態で開業するかによって異なります。株式会社や合同会社といった法人として会社設立する場合、法人を登記登録するための各種手数料が必要です。株式会社の場合は300,000万円~400,000万円、合同会社の場合には100,000万円ほどの初期費用がかかります。
一方個人事業主として開業する場合には、開業する作業自体にお金はかかりません。生活費や事業運営に必要なお金の分が貯金できていれば、問題なく開業することができます。
起業時に必要な貯金額を考える時に、事業の運営にかかる経費と、自分自身の生活費の両方を十分に用意しておくのがベストです。事業の運営にかかる経費は、商品開発や広告宣伝費をはじめ、仕入れのための資金などが挙げられます。生活費に関しては、万が一事業が最初の半年間ほど、まったくうまくいかない場合でも生計を立てていけるだけの貯金があると安心です。
結婚相談所開業のメリットは収益性の高さだけではありません!
今回は結婚相談所の開業について、様々な疑問にお答えしてきました。ビジネスを始めるにあたって、収益性の高さは重要なポイントです。今回の記事でも、結婚相談所ビジネスの収益性の高さについて詳しく説明してきました。
しかしながら、結婚相談所ビジネスの魅力は、収益性の高さだけではありません。結婚という人生の一大イベントに関わることにやりがいを感じ、この業界に参入してくる方もたくさんいらっしゃいます。
結婚相談所の開業、検討してみてはいかがでしょうか。
日本結婚相談所連盟では、「結婚相談所」の開業説明会を実施しております。今のお仕事や今後の働き方に関するお悩み・ご要望などをヒアリングさせていただきながら、「どうしたら理想の働き方を実現できるか?」「結婚相談所の開業はベストな選択となるのか?」といった視点で、お一人おひとりに合わせたアドバイスとご説明を行います。今回の記事で触れられなかった疑問・質問に対しても丁寧に回答いたしますので、ぜひお気軽にお申込みください。
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