コロナ禍の影響で業績が悪化している事業者にとって、現在の事業をこのまま続けていくのか、新たな事業に取り組むのかは大きな問題です。新たな事業に取り組む場合、コストもかかることから、補助金が利用できれば心強いです。
そこで今回は、業態転換を成功させるポイントと利用できる補助金について説明します。
業態転換を成功させるポイントと利用できる補助金
業態転換とは?事業転換、業種転換などとの違いは?
業態転換が「事業の業態を変更すること」なのは、何となく理解できますが、具体的には何をすることなのでしょうか。よく似た言葉である事業転換、業種転換と比較しながら確認してみましょう。
以下の各用語の説明は、事業再構築補助金における定義に基づいています。他の補助金・助成金では定義が異なる場合がありますので、ご注意ください。
業態転換とは
まず、業態転換とは、「製品又は商品若しくはサービスの製造方法又は提供方法を相当程度変更すること」とされています。
「相当程度の変更」とは、具体的には、以下の条件を満たす必要があります。
製品の製造方法を変更する場合
- 製品等の製造方法等がその企業にとって新規性を有するものであること
- 新たな方法で製造される製品がその企業にとって新規性を有するものであること
商品・サービスの提供方法を変更する場合
- 商品・サービスの提供方法がその企業にとって新規性を有するものであること
- 新たな方法で提供される商品・サービスがその企業にとって新規性を有するもの又は既存の設備の撤去や既存の店舗の縮小等を伴うものであること
具体例
- 飲食店を営んでいたA社が店舗営業を廃止し、オンライン専用の弁当宅配事業を新たに始める
- 製造業のB社がデジタル技術を活用した新たな製造設備を導入し、新たな製品を製造する
既に行っているネット販売事業を拡大する場合や、飲食店が店舗で提供していた商品をテイクアウトできるようにした場合は、新規性が認められません。
事業転換とは
事業転換とは、「新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更すること」とされています。
事業転換の要件
- 提供される商品・サービスがその企業にとって新規性を有するものであること
- 新たに提供される商品・サービスがその企業の既存の商品・サービスに与える影響が小さい、または相乗効果が期待できること
- 日本標準産業分類の中分類・小分類・細分類ベースで事業を変更すること
具体例
- 日本料理店を営んでいるC社が新たにラーメン店を始める
- 持ち帰り弁当屋を営んでいるD社が新たに食品配達事業を始める
業種転換とは
業種転換とは、「新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、主たる業種を変更すること」とされています。
業種転換の要件
- 提供される商品・サービスがその企業にとって新規性を有するものであること
- 新たに提供される商品・サービスがその企業の既存の商品・サービスに与える影響が小さい、または相乗効果が期待できること
- 日本標準産業分類の大分類ベースで事業を変更すること
具体例
- 食品卸売業を営んでいるE社が食品小売業を始める
- 不動産業を営んでいるF社が新たに飲食事業を始める
業態転換を成功させるには
業績を回復させる手段として業態転換を検討するからには、成功させなければ意味がありません。成功させるポイントについてご紹介します。
既存の経営資源を活用する
業態を転換させる場合でも、既存の経営資源(ヒト・モノ・ノウハウ等)を捨てて、新しいことを始めることはおすすめしません。設備等を処分するには費用がかかりますし、従業員を解雇するには正当な理由が必要で、「新事業では必要がないからクビ」というわけにはいきません。
むしろ、既存の経営資源を活用できないか考えてみましょう。飲食店であれば、厨房設備や調理ができるスタッフ、接客のノウハウなどがあるはずです。事業転換の具体例で挙げた飲食店がオンライン専門の弁当宅配事業を始める例では、厨房設備や調理スタッフは飲食店だったときのものをそのまま使うことができます。
成功しやすい事業に参入する
成功しやすい事業とは、「ライバルが少なく、コストがかからない」事業です。
ライバルは、必ずしも同業種だけとは限りません。例えば、「ビジネス街のランチ」という場面であれば、飲食店のライバルは同業の飲食店だけでなく、キッチンカーやコンビニエンスストア、ケータリングサービスもライバルとなりえます。戦場を想定し、商圏の中にライバルが少なくなるような事業を選ぶようにしましょう。
また、コストがかからない事業は、少しの売上でも利益が出るため、成功しやすいといえます。コストがかからない事業を選ぶだけでなく、ITの活用などでコストを下げることで、同業との競争力を高めることができます。
業態転換で利用できる補助金は?
業態転換には少なからずコストがかかるため、補助金・助成金が利用できると自己負担額を減らすことができます。
業態転換で利用できる補助金としては、国の事業再構築補助金があります。2022年2月17日から第5回公募の申請受付が始まりました(3月24日まで)。2022年中に3回程度の公募を実施予定とされていますが、補助の条件等はその都度見なおされるため、最新の募集要項等は事業再構築補助金事務局のホームページを確認するようにしてください。
以下では、第5回公募についてご紹介します。
補助対象者
事業再構築補助金の対象者は、日本国内に本社を有する中小企業者等及び中堅企業等に限ります。
補助金額
事業再構築補助金には、①通常枠、②大規模賃金引上枠、③卒業枠、④グローバルV字回復枠、⑤緊急事態宣言特別枠の5つの募集枠があります。
どの枠かによって、補助金額は変わりますが、通常枠の場合、従業員数に応じて最大8,000万円が補助されます。
補助対象経費
業態転換に要した建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費が補助の対象となります。
かかった費用の全額ではなく、最大で費用の2/3が補助されます(通常枠・中小企業・補助金額6,000万円未満の場合)。
補助の条件
補助を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- コロナ以前と比較して売上が減っている
- 業態転換等に取り組む
→業態転換の場合、上記の定義に当てはまることに加え、新事業の売上高が総売上高の10%以上となることが求められます - 認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する
→認定経営革新等支援機関(弁護士、税理士、中小企業診断士、商工会議所、金融機関等。こちらから検索することができます)
事業再構築補助金以外の補助金
国の事業再構築補助金以外にも、東京都の業態転換支援事業、長崎県のサービス産業事業再構築支援事業費補助金など、自治体が実施している補助金があります。募集期間が限られているため、J-Net21の補助金・助成金・融資情報などを利用して探してみましょう。
まとめ
今回は、業態転換を成功させるポイントと利用できる補助金について紹介しました。コロナ禍の影響が長期化する中、国も補助金で企業の業態転換等を促しています。補助金を上手に活用することで、事業を成功させていきましょう。
業態転換の候補として、結婚相談所ビジネスもおすすめです。初期投資が少なく、低リスクでスタートすることができます。既存事業の減収を補うだけでなく、飲食業や服飾業と結婚相談所ビジネスは相性もよいので、既存事業の成長も期待できます。
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