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副業時の確定申告、しないとどうなる?20万円ルールとは?

働き方の多様化に伴い、メインの仕事のほかに、週末に他の企業で働いたり、ライターやデザイナーの仕事を請け負うといった副業をする人が増えています。収入が増えるのはうれしいことですが、「副業の分の税金ってどうなるんだろう?」「確定申告をしなければならないって聞いたことがあるんだけど…」と心配になる方も多いのではないでしょうか。

今回は副業と税金、確定申告について説明します。

副業と所得の種類

個人の収入に対してかかる税金は、メインの仕事の収入だけでなく、それ以外の収入も合算して計算されます。ただ、収入の種類によって税金の扱いが異なるので、まずはその説明からしていきます。

給与所得

週末にパートやアルバイトで働き、給料をもらった場合、その収入は給与所得となります。給与所得の金額は、次の式で計算されます。

収入金額(源泉徴収前の金額。いわゆる「額面」)-給与所得控除=給与所得

複数の勤務先で給与を受け取っている場合、全ての給与を合計して計算する必要があります。給与を受け取っている場合、それぞれの勤務先から「源泉徴収票」をもらうと思います。そこに書かれている内容が確定申告の要否と関わってくるので、もらっていない場合には勤務先にお願いしましょう(年末まで勤務していた場合、前年分の源泉徴収票は1月中旬~下旬に発行されます)。

雑所得

ライターやデザイナーなど業務委託系の副業を行った場合やアフィリエイトで広告収入を得た場合など、給与所得以外の副業収入は雑所得に分類されます。雑所得の金額は、次の式で計算されます。

収入金額-必要経費=雑所得

必要経費は収入を得るために使った費用のことで、交通費や携帯電話代、インターネット回線代、仕入れ費用などがこれに含まれます。

収入金額の確認のために請求書や広告収入レポート画面のコピー、必要経費の確認のために領収書などが必要となるので、準備しておきましょう。

事業所得

副業が反復継続して行われ、独立した事業主体として客観的にも認められる段階に達したときは、その収入は事業所得として扱われます。事業所得の金額は、次の式で計算されます。

収入金額-必要経費=事業所得

計算式は雑所得と同じですが、事業で赤字が出た場合、給与所得などの黒字部分と合算して最終的な所得金額を計算することができるため(損益通算)、所得税などの税負担を抑えられる点が異なります。

副業と確定申告、「20万円ルール」って何?

上で見た所得の種類を前提に、副業と確定申告の要否について説明します。

副業した場合に、確定申告が必要となるケースは大きく分けて2つです(所得税法121条参照)。
①1つの勤務先から給与を受け取っている場合、事業所得や雑所得の合計が20万円を超えるとき
②2つ以上の勤務先から給与を受け取っている場合、副業となる勤務先からの給与の金額と事業所得や雑所得の合計が20万円を超えるとき

上記のように、副業による所得が20万円を超えるときに確定申告が必要となることから、「20万円ルール」と呼ばれることがあります。

この20万円ルールですが、注意すべきことがいくつかあります。

ダブルワークのときの基準は給与金額

複数の勤務先から給与を受け取っている②のケースでは、判断の基準となるのは手取り金額ではなく、給与金額(=額面)であることに注意しましょう。勤務先からもらった源泉徴収票の「支払金額」が給与金額なので、ここをチェックしてください。

20万円ルールの対象は所得税のみ

個人の収入に応じて支払わなければならない税金には、所得税と住民税がありますが、20万円ルールによって確定申告の必要がなくなるのは、所得税のみです。つまり、確定申告をしなくていい場合であっても、住民税のために副業の収入を申告する必要があるのです。

住民税の申告は各市区町村に対して行います。申告用紙については、市区町村役場で入手することができます。

逆に確定申告を行うと、その情報は市区町村にも送られるため、住民税の申告は不要となります。確定申告はパソコンやスマートフォンでも行うことができるため、住民税の申告よりも確定申告のほうが楽と感じる人もいるかもしれません。

確定申告する場合には20万円以下でも記載が必要

確定申告は医療費控除や住宅ローン控除など、払いすぎた税金を返してもらうために行うこともあります(還付申告)。このようなケースに該当して確定申告を行う場合には、副業の収入が20万円以下であっても、申告書に記載が必要となります。どのくらい税金を払いすぎているのかを計算するためには、正確な収入を把握する必要があるからです。

確定申告しないとどうなる?

確定申告が必要にもかかわらず、確定申告をしなかった場合、どうなってしまうのでしょうか?

無申告加算税

確定申告しなければならないにもかかわらず、確定申告をしなかった場合、本来支払うべき税金に加えて、納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した無申告加算税を課されます。

なお、確定申告の期限(例年3月15日)を過ぎてしまった場合でも、税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には、無申告加算税が5%に軽減されます。さらに、申告期限から1か月以内に申告していること、納付すべき税額の全額を法定納期限までに納付していることなどの条件を満たす場合は、無申告加算税は課されません。

つまり、無申告に気づいたらすぐに確定申告を行うのが「得」ということになります。

過少申告加算税

医療費控除のために確定申告を行っていたが、副業について記載していなかった場合のように、確定申告をしていたが、納める税金が少な過ぎた場合や還付される税金が多過ぎた場合には修正申告をしなければなりません。

自主的に修正申告を行った場合はペナルティはありませんが、税務署の調査を受けた後で修正申告をしたり、税務署から申告税額の更正を受けたりすると、新たに納める税金のほかに過少申告加算税がかかります。

この過少申告加算税は、新たに納めることになった税金に対して、50万円までは10%、50万円を超える部分は15%の割合を乗じて計算されます。

延滞税

上記の無申告加算税、過少申告加算税に加え、納期限から完納するまでの間の期間に応じて延滞税がかかります。イメージとしては遅延利息のようなものですが、2022年の延滞税率は年8.7%です。

無申告や過少申告がバレなければいいと思うかもしれませんが、年数が経ってからバレたときには延滞税も高額になります。

重加算税

帳簿の隠ぺい、仮装を行い、それに基づいて無申告、過少申告を行った場合(いわゆる「所得隠し」)は、重加算税が課されます。その税率は無申告の場合は無申告加算税の基礎となる税額の40%、過少申告の場合は過少申告加算税の基礎となる税額の35%と非常に重くなっています。

確定申告をしなかったことはバレるのか?

そもそも確定申告をしなかったことはバレるものなのでしょうか?「金額も少ないし、バレることはないだろう」と思うかもしれませんが、取引には必ず相手方がいます。取引先に税務調査が入り、そこで得られた資料(発注書・納品書等)から申告漏れが発覚するケースが多いようです。

また、会社にバレることを恐れて申告しないという人も多いようですが、会社にバレる可能性があるのは、住民税の納付を特別徴収(給与からの天引き)にした場合で、なおかつ、住民税の納付額が通常よりも高額になった場合です。住民税が増減するのは副業以外が原因の場合もあるため、それほど心配しなくてもよいでしょう。
どうしても心配なときは、申告書の中にある「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」の欄で「自分で納付」にチェックを付ければ、副業分の住民税については別に納付書が送られてきます(自治体によっては申告書に関わらず特別徴収を原則としているところもあります)。

まとめ

今回は副業と確定申告について説明しました。「確定申告が面倒だから、確定申告が不要な年間20万円以下に副業を控える」という考え方もありますが、年間を通して副業を行った場合、月2万円の利益で20万円を超えてしまいます。
確定申告だけであれば10万円程度で対応してくれる税理士もいるので、副業の成長が見込めるようであれば、ぜひチャレンジしていただきたいと思います。

例えば、夜間や週末を利用したセミナー講師やコンサルティング、システム開発やWebサイト制作などは、時間単価が高く、経費もあまりかからないので、年間20万円の壁を超えるのは比較的簡単でしょう。

結婚相談所ビジネスもおすすめの副業です。加盟金など初期費用はかかりますが、自宅でも開業でき、夜間・週末を利用することで年間200~300万円の副業収入を狙うことも可能です。

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