起業時に必要な準備の1つとして、印鑑の用意があります。法人を設立する場合には会社員菅を用意する必要があるほか、個人事業主として起業する場合でも銀行口座の開設時に印鑑が必要です。そこで今回は、起業時に必要な印鑑の種類や選び方のポイントについて解説します。
起業時に必要な印鑑の種類や選び方のポイント
法人での起業時に必要な印鑑の種類
独立開業して、株式会社や合同会社などの法人を設立する場合には、会社用の印鑑が必要です。具体的には法人登記する際や、各種契約書の作成時に印鑑を使用します。
さらに設立登記を行うまでには、代表者の個人用印鑑も必要です。まずは法人設立時に、必要な各種印鑑の種類について確認していきましょう。
会社印鑑と個人印鑑の違い
会社印鑑と個人印鑑は用途が違うだけでなく、ハンコの面に書かれている内容や形にも違いがあります。会社印鑑は、株式会社や合同会社、社団法人、NPO法人など国内で法人を設立する時に必要です。そのほか、法人用の銀行口座の開設や各種契約の際に使います。会社印鑑に書かれている内容は、登記簿登録する実際の法人名です。
一方、個人用の印鑑は法人設立時の代表者の名前をあらわす判子です。法人設立する場合、会社役員として起業手続きを行いますが、この時に使用されるのが個人印鑑となっています。個人用の印鑑に書かれている内容は、個人のフルネームや苗字のみなどのパターンが一般的です。縦書きのデザインや横書きのデザインなどがあります。
このほか、デザイン面での違いは、会社印鑑は角丸のものや二重丸のものが多く、個人印鑑は普通の丸型のものが多いという点です。会社印鑑が角丸になっていることには、「角を立てずに事業が進むように」という意味合いがあります。
銀行印、実印、認印などの違い
会社印鑑と個人印鑑には、それぞれ「実印」「銀行員」「認印」という数パターンの判子があるのが特徴です。それぞれの印鑑は形状や用途が異なり、一通りすべてを用意しておく必要があります。
法人用の印鑑の種類は、設立登記に使う丸型の「実印」、銀行口座の開設等に使う「銀行印」。各種契約書の作成に使用する四角い形の「角印」、印鑑証明が不要な書類作成に使用する「認印」、郵送物などに使用する「ゴム印」などです。
個人用の印鑑の種類は法人用より少なく、不動産購入など印鑑証明を必要とする契約に使う「実印」、金融機関との取引に使う「銀行印」、印鑑証明が不要な書類に押印するための「認印」などがあります。実印は名前をフルネームで横書きのものが多いです。
なお印鑑証明が必要な実印を使用する際には、印鑑登録の届出手続きが必要になります。法律で決められている内容のため、届出なしで印鑑を変更したりすることができません。紛失などには十分注意して取り扱うことをオススメします。
個人事業主として起業する時に必要な印鑑
個人事業主としてフリーランスの営利活動を行う際には、法人設立と違って会社実印を用意する必要などがありません。実印が必要な不動産契約や自動車購入などをしない限りは、認印1つだけ用意しておけば事足りてしまうのが特徴です。
ただし実印が必要な手続きを行う際や、取引先から判子を押した契約書や請求書を求められた場合などは、最初から印鑑を用意しておいた方がスムーズです。業務が忙しくなる前に、個人事業主としての判子を一式用意しておくのもよいでしょう。
個人事業主は「会社」ではないが、屋号の印鑑は作っておくと便利
個人事業主は法務局での法人登記をせずに開業できるため、会社印鑑は不要です。ただし個人事業の開業届を出す際に決める「屋号」が刻印された判子を用意しておくと、会社印を求められるような正式な契約書の作成時に役立ちます。
個人事業主が用意しておくと便利な事業用の印鑑は、「事業用の丸印」や「事業用の銀行印」。対外的な契約書に押印するための事業の屋号が書かれた「角印」、郵送物などに住所や郵便番号、名前などを簡単に押せる「ゴム印」などです。
このほか、印鑑証明が不要な契約に使用する「個人用の認印」や、印鑑証明が必要な取引で使用する「実印」などがあれば、準備は完璧になります。起業時に余力があれば、屋号が決まった時点で各種判子一式をセットで用意しておくのもよいでしょう。
個人事業で使用する印鑑の主な形やデザイン
個人事業主がビジネスを運営する際に使用する可能性がある印鑑にはさまざまな形があります。主なものとしては丸い形の「丸印」と、四角い形の「角印」が一般的です。法律で決まっているわけではありませんが、昔からの慣習として、どの印鑑をどんな時に使うのかには一定のルールがあります。
丸印は、主に代表者印として各種契約書などに押印されることが多いです。一番大きなサイズのものでは、二重丸の外側の円周に屋号、内側の円に代表者名が刻印されています。また屋号のみが縦書きされている丸印や、個人名だけが書かれている丸印なども使用可能です。
銀行用にも丸印を使用することが多いですが、盗難や偽造による不正な出金などを防ぐためにも、銀行印と認印は別で用意しておくことをオススメします。
角印は、領収書や請求書に屋号を押印する用途で使われることが多いです。必ずしも必要ではありませんが、あったほうが対外的な印象で良くなる効果が期待できます。
起業時の印鑑選びのポイント
最後に起業時に、用意する印鑑選びのポイントについて確認しておきましょう。一言で印鑑と言っても、形や内容、印鑑のサイズや本体の素材にはさまざまな種類があります。
大きさや素材が異なる
「銀行印」や「角印」など、同じ種類の印鑑であってもサイズには違いがあるのが特徴です。多くの印章店では、3サイズほどの大きさの印鑑が用意されています。
実印、銀行印、認印、角印のそれぞれでも大きさが違いもっとも小さいのが認印で1.6センチほどの丸印が多いです。銀行印や実印がその次のサイズで、1.8センチ前後から大きいものでは2.4センチほどのものもあります。角印は各種印鑑の中ではもっとも大きく、2.1センチから2.4センチ程度のものが一般的です。
さらに印鑑の本体が、何の素材でできているかによっても、使い心地や値段、耐久性が異なります。一般的な素材は「象牙」で、耐久性や手触り、朱肉の付きやすさなどの点で優れた素材です。このほか、コストパフォーマンスがよい木材の「つげ」や、見た目がきれいな「琥珀」、落としたりしても欠けにくい強固な「チタン」などもあります。
起業に必要な印鑑セットをまとめて販売している店も多い
起業時に必要な印鑑にはさまざまな種類がありますが、お店によってはこれから独立開業する人のための印鑑セット一式をまとめて販売しているところも多いです。個別に印鑑を購入するよりもセットで購入したほうが手間やコストが抑えられるケースがあるため、起業時に印鑑セットを購入するのもよいでしょう。ぜひ、自分が納得できる素材やデザインの印鑑を手に入れてください。
まとめ 起業時に必要な印鑑は早めに作成しましょう
今回は、起業時に必要な印鑑についてご紹介しました。印鑑にはさまざまな種類があり、とくに法人設立時には会社の印鑑が必要不可欠です。また個人事業主として起業する際にも、屋号の書かれた角印やゴム印があったほうが便利な場合があります。
起業直後は事業の立上げで忙しくなるため、余裕があるときに早めに印鑑を作成しておくのがオススメです。今回の情報を参考に、ぜひご自身の事業運営に必要な印鑑を用意してください。