フランチャイズによる開業を目指す場合、開業までの最大の山場はフランチャイズ契約の締結です。フランチャイズ契約は契約期間が10年を超えるものもあり、契約書をよく確認せずに調印してしまうと、その後の事業に大きな影響を与えることになります。
そこで今回は、フランチャイズ契約で確認すべきポイントをご紹介します。
フランチャイズ契約を締結する前に知っておきたい15のポイント
フランチャイズ契約とは?他の契約との違いは?
フランチャイズ契約は、売買契約や賃貸借契約のように、法律で契約の内容について定義されていません。ただ、フランチャイズ事業は中小小売商業振興法上、特定連鎖化事業と呼ばれ、一定の規制がかけられています。フランチャイズ契約を理解するために、まずは特定連鎖化事業の定義を確認してみましょう。
特定連鎖化事業とは?
特定連鎖化事業とは、以下のような特徴をもった事業のことをいいます(中小小売商業振興法4条5項、11条)。
- 定型的な約款による契約に基づく
- 継続的に、商品を販売し、又は販売をあっせんする
- 経営に関する指導を行う
- 加盟者に特定の商標、商号その他の表示を使用させる
- 加盟者から加盟に際し加盟金、保証金その他の金銭を徴収する
したがって、フランチャイズ契約には、少なくとも上記の要素を含んでいるといえます。
他の契約との違い
フランチャイズ契約と類似した契約として、代理店契約やのれん分け契約があります。
代理店契約
代理店契約はメーカーが自社の製品を販売するために、第三者(代理店)にカタログなどのマーケティングツールや販売ノウハウを提供し、代理店は販売実績に応じて手数料を受け取る契約です。
代理店がメーカーから製品を購入し、エンドユーザーに販売する形態と代理店は注文を媒介するだけで販売はメーカーが行う形態があります。
マーケティングツールや販売ノウハウの提供という点ではフランチャイズ契約と類似しますが、代理店契約の主目的が製品の販売であることに対して、フランチャイズ契約の主目的は営業支援の対価であるロイヤリティの獲得である点が異なります。
のれん分け契約
のれん分け契約は、独立する従業員に対して、店名の使用や独立元で提供している商品・サービスを提供することを認める契約です。「店名の使用は認めるだけで、提供する商品・サービスは自由」というものから、「店舗運営は本部の指示に従わなければならない」というものまで内容は千差万別です。
本部の拘束が強く、ロイヤリティの支払があるような契約の場合、フランチャイズ契約との差はほぼなく、事業を始めるのが元従業員であるということがフランチャイズ契約との最大の違いとなります。フランチャイズ契約の場合は、加盟店のオーナーは本部と「赤の他人」であるケースが大半です。
フランチャイズ契約で注意すべき15のポイント
では、具体的にフランチャイズ契約の条項の中で特に注意が必要なものについて説明していきましょう。
お金に関する条項
1. 加盟金
加盟金はフランチャイズに加盟する際に支払う金銭です。金額だけでなく、支払時期や支払方法についても確認しておきましょう。
加盟金はフランチャイズ契約が解約されても返還されないケースが多いですが、返還の有無やその条件について契約書に記載されているかどうか確認してください。
2. 保証金
保証金はフランチャイズ契約に関連して負担する金銭債務を保証するために、加盟店が本部に預託する金銭です。通常、加盟時に用意する必要があります。
フランチャイズ契約が解約される際に、残っている債務を清算して残金が返還されますが、契約中は返還を求めることができないため、金額が大きいと加盟店の負担が大きくなります。
3. その他加盟時に支払う金銭
加盟金・保証金のほか、加盟時に開業支援費、研修費、店舗設計費などの支払いが必要な場合があります。徴収の目的(何に対する対価か)、金額、返還の有無について明記されているか確認しましょう。
4. ロイヤリティ
ロイヤリティは事業開始後に本部に支払う金銭のうち、ブランドの利用やノウハウの提供の対価として支払われるものです。
①売上額×料率、②利益額×料率、③固定額が一般的ですが、計算方法が明確であるかどうかを確認しましょう。特に利益額については、売上から何を差し引いて計算するかによって金額が大きく変わるため、利益額を基準としている場合には特に注意が必要です。
5. その他の費用
システム利用料や広告料などを負担しなければならないケースもあるため、確認しておきましょう。
6. オープンアカウント制
オープンアカウント制とは、加盟店の売上をいったん本部に入金し、仕入れ費用やロイヤリティなどを清算したうえで、残金を加盟店に戻す制度です。自動融資制度とセットになっていることが多く、売上が足りないときは不足分を自動的に本部が加盟店に融資する仕組みになっています。
本部と加盟店間の資金決済が簡便になるというメリットがある一方で、自動融資制度によって気づかないうちに多額の借金を抱えているということもありうるため、お金の流れがわかりにくいと感じたときは、納得するまで説明を求めるようにしましょう。
7. 収入保障
フランチャイズによっては、加盟後一定期間の収入を保障するケースがあります。収入の定義や支払条件、保障期間などについて確認しましょう。説明会では収入保障をうたいながら、契約書に記載がないといった悪質なケースもあるようです。契約書に記載がない場合は、説明を求めましょう。
8. 違約金
違約金は契約違反のペナルティとして支払う金銭のことです。契約期間中の中途解約時の違約金が典型例ですが、何をしたらどのようなペナルティが課されるのかについては、事前に確認しておきましょう。
サービス内容に関する条項
9. 商標の使用許諾
フランチャイズの最大のメリットは、世間に周知されているブランドを使って事業を行えることです。逆に本部は、加盟店が勝手にブランド名やロゴマークを使用することによるブランドイメージの低下を懸念しています。そのため、ブランド名やロゴマークの使用については、条件が付けられています。
例えば、加盟店独自でチラシを作成することができるか、作成できる場合であっても本部の承認が必要か、など、商標等の利用条件については、契約前に確認しておきましょう。
10. 経営指導の内容
商標の使用と並んで、フランチャイズのメリットといえるのは、成功したビジネスモデルを使用できるということです。ビジネスモデルを教えてもらえると思って加盟したのに、何も指導してもらえない、指導を受けるために多額の費用がかかるというのでは、加盟のメリットも薄れてしまいます。
経営指導の内容、頻度、費用などについて明確になっているか、こちらが求める内容なのかについて確認しましょう。
11. 商品・備品の購入条件
フランチャイズでは、本部が開発した商品・備品を使って業務を行うことが多いでしょう。他では購入できないそうした商品・備品を利用できることが他社との差別化になるケースも多いと思います。ただ、仕入れ数量を強制されたり、仕入れ条件が必要以上に厳しいような場合には、メリットを十分に生かすことができません。
加盟店にとって不利な条件が含まれていないか確認しましょう。
ビジネスの制約となる条項
12. テリトリー制
テリトリー制は、設定されたエリア内で他の加盟店の開業を認めない制度で、自社にとっては守りの制度であるとともに、事業拡大の制約ともなります。テリトリー制が採用されているのか、採用されている場合、条件について確認しましょう。
13. 競業禁止条項
フランチャイズ契約終了後も一定期間、同種の事業を行うことを禁止する条項です。フランチャイズでノウハウを蓄積し、自分の力で事業を始める際の制約となります。期間だけでなく、どのような事業を行うことが禁止されているのかについて確認しましょう。
禁止される事業の内容が曖昧だと、本部がそれを悪用して独立を妨害する可能性があります。加盟時に独立のことを考えるのは難しいかもしれませんが、しっかり確認する必要があります。
14. 守秘義務条項
フランチャイズ契約中はもちろん、終了後も、本部から提供された情報について外部に漏らしてはならないという条項です。本部にとっては、ノウハウこそが「飯のタネ」ですから、外部に情報が洩れることを極端に警戒します。
どのような情報について、開示が禁止されているのかチェックしておきましょう。
15. 契約期間
契約期間が長ければ、安定して事業に取り組める半面、契約期間の途中で契約を終了させようとすると違約金が発生するため、「辞めたくても辞められない」という事態に陥ることがあります。
事業の成否を判断できる程度に十分な契約期間であることを判断軸とし、同業他社と比較して極端に長かったり、短かったりするものについては、説明を求めるようにしましょう。
また、契約の自動更新の有無や、本部側からの契約解除事由の有無についてもあわせて確認しましょう。どちらも加盟店の意思に関わらず契約が続いたり終わったりすることになるからです。
フランチャイズ契約で納得できない点があったときは
フランチャイズ契約で納得できない点があったときはどうしたらよいでしょうか。
本部の担当者に説明を求める
フランチャイズ契約について一番詳しいのは本部の担当者です。まずは担当者に納得がいくまで説明を求めましょう。
弁護士に相談する
本部の担当者の説明を聞いても納得できない場合、契約書案を持参して弁護士に相談してみましょう。弁護士は事業には詳しくないかもしれませんが、契約書の記載が法的にどのような意味を持つのか説明してくれます。
本部の担当者が「契約書には○○と書いてありますが、実際には××という意味なんですよ」という説明をすることがありますが、トラブルになったときは契約書の記載内容が優先されてしまう場合がほとんどです。
「契約書に書かれていないことは信用しない」くらいの気持ちで臨むべきでしょう。
契約書の変更を求める、覚書の締結を求める
本部の担当者に説明を求め、弁護士に相談した結果、契約書の記載が納得できないという場合は、契約書の変更ができないか相談してみましょう。フランチャイズ契約は定型的な約款に基づく契約がほとんどで、個別の修正に応じない場合が多いですが、契約書の一部について、契約書とは異なる内容を覚書として締結に応じるケースもあります。
契約の締結後に契約内容の変更を求めることは非常に難しいですし、本部と加盟店の力関係から言い出しにくいということもあるでしょう。対等に交渉できる最後のチャンスと考えて、納得してから調印するようにしましょう。
まとめ
今回は、フランチャイズ契約について、注意すべき点や納得できない場合にどうしたらよいかについて説明しました。フランチャイズ契約は様々な条項の組み合わせによって作られており、同じ業種のフランチャイズであっても契約内容は全く違うということがあり得ます。複数の契約書を比較するのも納得して契約するために有効な方法といえるでしょう。
フランチャイズは未経験者が開業するなら、有力な選択肢の一つです。今回の記事を参考に契約内容を吟味し、ぜひ起業を成功させてください。
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