最近、起業、副業と並んで多様な働き方として注目されている「パラレルワーク」。他にも複業、兼業、ダブルワーク、サイドビジネスなど、似た言葉がたくさんあり、違いがわからないという方も多いのではないでしょうか。
今回はパラレルワークに注目し、他の言葉との意味の違いや注目されている理由、メリットや注意点について紹介します。
新しい働き方として話題のパラレルワーク。副業との違いは?
パラレルワークとは?他の言葉との違いは?
パラレルワークは、「並行」「平行」を意味するパラレル(parallel)と「仕事」「作業」を意味するワーク(work)を組み合わせた言葉です。主要な英語の辞書には掲載されていないことから、いわゆる和製英語の一種といえるでしょう。
直訳すれば「並行作業」となりますが、最近の多様な働き方の文脈では、「複数の収入源を持ち、一つのビジネスに依存しない働き方のこと」を指します。
他の言葉との違いは?
パラレルキャリア
まず、同じ「パラレル」という言葉を使っている「パラレルキャリア」ですが、こちらはピーター・ドラッカーが著書「明日を支配するもの」などで提唱している概念で、お金を得るための仕事とは別に、教育、執筆、NPOでの活動など自己実現や公益のための仕事を持つべき、というものです。
パラレルワークと比較すると、対象としている「仕事」の意味がやや広いといえます。
副業
続いて「副業」との意味の違いを考えてみましょう。「副」という言葉から、副業は「主」となる仕事があることを前提としているといえます。つまり、「主業(本業)」と「副業」との間には質的・量的な違いがあるわけです。
パラレルワークのそれぞれの仕事の間には、主と副の違いはなく、どちらも主であるという認識であるため、この点が副業との違いといえます。
複業
複業は比較的新しい言葉で、副業をもじったものです。複数の仕事に同じように取り組むという趣旨で、「副」ではなく「複」の字を使ったと考えられ、パラレルワークが想定している働き方と同じものといえるでしょう。
兼業
兼業という言葉は、「兼業農家」や「公務員の兼業」というように使われることが多く、農家や公務員が本業ではあるものの、兼ねている事業もある程度大規模であることが想定されています。複業ほどではありませんが、パラレルワークに近い言葉といえるでしょう。
ダブルワーク
ダブルワークは、複数の仕事をすることを意味しますが、アルバイトやパートを掛け持ちしているときに使われることが多いです。複数の仕事を並行して行っているという点では、パラレルワークと同じですが、ダブルワークの場合、いずれの仕事も本業という認識が薄く、その点がパラレルワークとの違いといえます。
サイドビジネス
サイドビジネスは、副業と同じく、本業を前提としています。重み付けに差がある点でパラレルワークとは異なるといえます。
パラレルワークが注目されている理由
近年、パラレルワークが注目されているのは、なぜでしょうか?企業・労働者・行政それぞれの側面からみていきましょう。
企業からみたパラレルワーク
従来、企業はパラレルワークに対しては消極的でした。パラレルワークを認めることで、業務がおろそかになり、自社の事業に支障が出ると考えたからです。
しかしながら、人材確保の観点からみたときに、パラレルワークを禁止することで人材が流出したり、採用が困難になったりするおそれがあることから、パラレルワークを許容する動きが出てきました。
近年では、許容から一歩進み、積極的にパラレルワークを推奨し、パラレルワークで得た知見を自社の事業に活かしてもらおうという企業も出てきています。
労働者からみたパラレルワーク
これまでは労働者がパラレルワークをしたいと考えていても、勤務先がパラレルワークを禁止しており、自由に行うことができませんでした。企業がパラレルワークを許容したことで、パラレルワークを行う環境が整ったこと、加えて終身雇用制や年功序列制を廃止する企業が増え、賃金の上昇が見込めなくなったことから、パラレルワークに関心を持つ労働者が増えてきました。
5年ごとに実施される就業構造基本調査の最新版である平成29年の調査では、正社員で実際に副業を行っている人の割合は平成14年以降、2%前後で横ばいですが、本業以外で働いてみたいと考える人の割合は回を追うごとに上昇しており、平成29年では正社員の5.4%が本業以外で働いてみたいと回答しています。
行政からみたパラレルワーク
行政もパラレルワークを推進しています。中小企業庁は平成29年に「兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する調査事業 研究会提言」をまとめています。
兼業・副業を推進することで、①オープンイノベーションの促進、②自己実現・人材育成の促進を通じた一億総活躍社会の創出への貢献、③成長産業である地方の中小企業や公益的な事業分野への人材供給の活性化、が期待できるとしています。経済的な利益だけでなく、創業の促進や自己実現、公益的事業分野への人材供給など、パラレルワーク・パラレルキャリアの理念に近い内容となっています。
厚生労働省も平成29年の「働き方改革実行計画」を受けて副業・兼業の普及促進を図っており、平成30年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」や、副業・兼業を認めるモデル就業規則を公開するなどしています(→厚生労働省の副業・兼業コーナー)。
パラレルワークのメリット・注意点
これまでみてきたように、官民を挙げてパラレルワークを推進する動きが加速していますが、パラレルワークのメリットと注意点を確認しておきましょう。
パラレルワークのメリット
収入が増える
パラレルワークのメリットとして、最初に挙がるのはやはり収入の増加でしょう。新たな仕事を始めることで、収入の増加が期待できます。
自分のやりたいことができる
会社員としての収入で生活費が賄えているのであれば、もうひとつの本業は短期的な利益を追求する必要がなくなります。社会的意義のある事業や長期的視野で取り組むべき事業など、自分がやりたいことに取り組みやすくなります。
一方の仕事の知見や人脈を他方に活かせる
複数の本業を並行して進めることで、経験を積む機会を増やすことができるのもパラレルワークのメリットといえます。そこで得た知見や人脈は、他の事業でも活かすことができるでしょう。
リスクを回避できる
本業といえる仕事を複数持つことで、そのうちのひとつがうまくいかなくなったとしても、他の仕事でカバーすることができるようになります。災害や感染症など、予測不能なことが相次いでいる昨今、リスク回避の方法を持てることは大きなメリットといえます。
パラレルワークの注意点
勤務先がパラレルワークを許可しているか確認する
世の中の流れがパラレルワークを許容する方向に動いているとしても、勤務先がパラレルワークを禁止している場合、パラレルワークを始めることは就業規則違反となり、処分を受ける可能性があります。
情報漏えい・競業禁止に注意する
パラレルワークを許可している勤務先でも、勤務先の秘密情報を他の事業に流用することは禁止されています。また、勤務先と同種の事業を行うことは勤務先の利益を害することになるため、禁止されているケースが多いです。
健康管理・時間管理は自己責任
パラレルワークを始めて直面することは、それぞれの仕事のバランスをどうとるかということです。一方の仕事に注力しすぎて、他方がおろそかになってしまっては、元も子もありません。また、単純に仕事にかける時間が増えることになるため、体調を崩さないように注意しましょう。健康管理も仕事のひとつです。
税金や社会保険の取り扱いに注意する
複数の企業と雇用契約を結ぶ形のパラレルワークの場合、税金や社会保険の手続は勤務時間が長いほうの勤務先で行うことが原則となります。それぞれの勤務先が他でも仕事をしていることを知らないと、手続が重複してしまう可能性があるので、きちんと説明しておきましょう。有給休暇は、それぞれの勤務先での勤務日数に従って付与されます。
企業との雇用契約1つと自営の事業とのパラレルワークの場合、企業との契約で勤務時間がどのくらいで設定されているかによって、企業の健康保険に加入するか、国民健康保険に加入するかが変わってきます。一般的には起業の健康保険に加入したほうが保険料が安くなることが多いので、加入資格があるか確認してみましょう。
税金については、確定申告が必要です。
まとめ
今回は、パラレルワークについて取り上げました。コロナ禍によってテレワーク対応が進んだことで、都市部にいながら地方企業の仕事を引き受けることができるようになるなど、パラレルワークがしやすくなりました。
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