今の勤めている会社を辞め、自分思い通り仕事がしてみたい。自由な時間を作ってプライベートと仕事を充実させたい。そんな風に思っている方も少なくないでしょう。
雇われている立場から、雇う立場へ、年収アップやビジネス、キャリアの視点ももっと高くしていきたいという方が独立開業をするとき、そのきっかけになるものがあれば独立開業の道はそう遠くないものになります。
そのきっかけというものの中に、資格取得を思い浮かべる方もいると思いますが、独立開業して起業するために、資格の保有は必要なのでしょうか?
ここでは、独立開業したい方へ向けて、資格取得の必要性があるか?起業に有利な資格などについてご紹介していきます。
独立開業するには資格は必要か?
独立開業しようと思ったとき、資格は必要なのでしょうか。その資格の中でも「有利な資格」はあるのでしょうか?資格が必要になる仕事もありますが、独立開業していくために必要な資格とはどのようなものでしょうか?
結論から申し上げると、独立開業するために取得しないといけない資格はありません。しかし、起業する仕事の種類によっては、資格がないと出来ない仕事があるため、その場合は例外となります。
資格がすべてではない
世の中には様々な資格があり、1つのジャンルを取ってみても沢山の認定団体がそれぞれの資格を作っています。
例えば、パソコンの資格で考えてみても、システム関連の資格やネットワーク、プログラミング、データベース、Web、デザイン、Office、ITコーディネーター、情報リテラシーなど様々なジャンルの資格があり、それぞれ認定団体が違います。
資格を取得していることは、企業としては評価の判断材料の一つになりますが、自分一人で独立開業して仕事をしていく上では、そこまで重要ではありません。名刺に載せられる資格を取得し、お客様の信頼を得るという事も考え方としてはありますが、実際にお客様とのやり取りが始まってからは資格の有無は関係なくなります。
認定団体によってはあまり意味がない
様々な資格が世の中にあふれていますが、認定団体によってはあまり意味のない資格なども存在します。民間資格は創設に特に制限もなく、言い方は悪いですが「作ったもの勝ち」です。
認知度の低い認定団体が行っている資格は、受験者・取得者が少なく、取得してもお客様の信頼には繋がりにくいケースもあります。また、資格取得に試験合格だけでなく、指定された講座の受講が条件とされている場合には、講座の受講に数十万円の費用がかかることも少なくありません。
独立開業するには初めに掛かるコストはできるだけ抑えるべきといわれています。その資格試験のために時間を割いてまで基礎知識から勉強すべきか、資格だけがすべてではない、ということも含めて、今一度検討してみると良いでしょう。
独立開業するのに有利な資格
独立していく上で、有利な資格はあるのでしょうか。それぞれ、見ていきましょう。
業務独占資格は独立開業に有利
業務独占資格とは、その資格を持っていないと携わることができない業務を独占的に行うことができる資格のことです。
例えば、
- 「弁護士(略)でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件(略)その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。」(弁護士法)
- 「税理士(略)でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。」(税理士法)
といった具合に、資格を持っていないと、業務を行うことができないのです。
資格を持っている人が少ない業務であれば、競合も少なくなるため、独立開業に有利といえます。
主な業務独占資格の登録者数・試験合格者数
主な業務独占資格について、登録者の数、試験の受験者数、合格者数をまとめてみました。競合がどのくらいいるのか、試験の難易度など参考にしてみてください。
資格名 |
登録者数 |
試験の受験者数 |
試験の合格者数 |
弁護士 |
42,164人 |
3,703人 |
1,450人 |
弁理士 |
11,460人 |
2,947人 |
287人 |
税理士 |
78,795人 |
26,673人 |
648人 |
司法書士 |
22,724人 |
11,494人 |
595人 |
行政書士 |
48,639人 |
41,681人 |
4,470人 |
公認会計士 |
31,793人 |
11,598人 |
1,335人 |
社会保険労務士 |
42,887人 |
34,845人 |
2,237人 |
土地家屋調査士 |
16,240人 |
3,785人 |
392人 |
宅地建物取引士 |
529,381人 |
204,250人 |
34,338人 |
医師 |
327,210人 |
9,910人 |
9,058人 |
歯科医師 |
104,908人 |
3,284人 |
2,123人 |
薬剤師 |
311,289人 |
14,031人 |
9,634人 |
美容師 |
542,089人 |
22,960人 |
18,495人 |
理容師 |
214,279人 |
2,054人 |
1,605人 |
あん摩マッサージ指圧師 |
118,916人 |
1,295人 |
1,089人 |
はり師 |
121,757人 |
3,853人 |
2,698人 |
きゅう師 |
119,796人 |
3,797人 |
2,740人 |
柔道整復師 |
73,017人 |
4,561人 |
3,011人 |
※いずれも執筆時の最新の資料に基づく
※美容師・理容師は同じ年度に実施された2回の試験の合計
業務独占資格も安泰ではない?
業務独占資格は資格を持っていないと業務ができず、競合が少ないと言われてきましたが、資格によっては登録者数が増加したことで、競争が激しくなっている業界もあります。
例えば、弁護士の数はこの10年間でおよそ1.5倍に増え(2010年と2020年の比較)、令和元年の統計で日本の世帯所得の中央値(437万円)を下回る人が全体の3分の1を超えています(国税庁統計年報・申告所得税)。
「独立に有利」といわれることが多い行政書士も、新規登録者が2,579人に対して、自主廃業した人が1,527人います(令和元年度)。参入者も多い一方で、結果が出せずに撤退する人も多いのです。
競争が激しくなった業界では、資格を持っているだけでは差別化できないため、サービスの質や価格で勝負せざるを得なくなります。利用者にとってはうれしい話ですが、事業を行っていく上では、以下の点に留意する必要があります。
得意分野を作る
競合が少なかったころは、その資格が扱うことができる全ての業務に対応できることが求められていましたが、競合が多くなると、オールラウンド型よりも専門家が求められるようになります。マーケティングの面でも対象を絞ったほうがアピールしやすくなるので、少しずつでも得意分野を作っていきましょう。
コミュニケーションスキルが求められる
競合が少なければ、多少不愛想でもお客様はやってきます。しかし、選択肢が増えれば、お客様は人当たりがよく、説明が丁寧なほうを選ぶようになるでしょう。性格は急に変えられないかもしれませんが、コミュニケーションスキルを高め、お客様の話をよく聞き、丁寧な説明を心掛けるなど、少しずつでも変わっていく努力をしていきましょう。
コスト意識を高める
競合が増えることで客数が減るだけでなく、客単価も下がっていきます。売上が減っても事業を継続していくには、コストを下げて利益率を高める必要があります。支出を見直して不要なものを削る必要があります。
マーケティングを行う
競合が少ないころは、お客様のほうがその資格を持っている人を探して来所してくれましたが、競合が増えれば自分がお客様を呼び込まなければなりません。Webの活用など、想定されるお客様に合ったマーケティング手法を検討し、実施していく必要があります。
業務独占資格以外の資格は?
業務独占資格以外の資格が独立開業に役立つかは、お客様にとって、その資格を持っていることが資格保有者の知識・技術を裏付けるものといえるか、言い換えれば同業者との差別化につながっているかどうかによるでしょう。
業務独占資格以外の資格について、いくつかご紹介します。
中小企業診断士
中小企業支援法に基づく国家資格で、経営コンサルタントに関する国家資格のような扱いとなっています。経営コンサルタント業を行ううえで中小企業診断士の資格は不要ですが、中小企業診断士の資格を取るためには、マーケティングや財務会計、生産管理、人事、法務、情報システムなど幅広い知識が要求されるため、中小企業診断士の資格を取得することで、一定の知識を持っていると認めてもらいやすくなるでしょう。
ファイナンシャル・プランニング技能士
ファイナンシャル・プランニング技能士は、ファイナンシャル・プランナーに関する国家資格です。ファイナンシャル・プランナーに関する資格には、日本FP協会が認定するAFPやCFPという資格もあります。
いずれも業務独占資格ではないので、上記の資格を持っていなくても「ファイナンシャル・プランナー」を名乗って個人の貯蓄・投資等のプランの立案・相談業務をすることができます。
ネイリスト技能検定試験・JNAジェルネイル技能検定試験
「ネイリスト技能検定試験」は日本ネイリスト検定試験センター(JNEC)、「JNAジェルネイル技能検定試験」は日本ネイリスト協会(JNA)が実施する検定試験です。
試験に合格しなくてもネイリストの仕事をすることはできますが、両試験とも歴史が長く、合格者も多いことから、業界内での評価は定着しているといえます。
日商簿記検定
日商簿記検定は、日本商工会議所および各地商工会議所が実施する簿記に関する検定試験です。日商簿記検定を取得していることが独立開業に有利とはいえませんが、日商簿記1級合格者は税理士試験の受験資格が得られるため、税理士資格の第一歩として合格を目指す人もいます。
独立開業に直接役立たないとはいえ、簿記・会計の知識は独立開業後の経営に有用です。余裕があれば勉強してみるのもよいでしょう。
ビジネス実務法務検定
ビジネス実務法務検定は東京商工会議所が主催している法律実務知識に関する検定試験です。「ビジネス」と付いているように、企業の法務部門の担当者が受験することが想定されています。
日商簿記同様、この資格を取得することで独立開業に有利になるとはいえませんが、法律の知識は独立開業後に役立つものです。実践的な法律知識を問われるという点では、司法試験などの法律系の国家資格の試験よりも起業家向けといえます。
資格がなくても独立開業できる仕事
最後に、資格がなくても独立開業できる仕事をご紹介します。
- Web制作
- プログラマー
- デザイナー
- ライター
- マーケッター
- コンサルタント
- YouTuber
- 結婚相談所
まだまだ資格がなくても独立開業できる仕事はありますが、ご紹介した仕事はどれも自分の身ひとつでできる仕事です。
初期投資が少なく、思い立ったらすぐに始めることができ、頑張れば頑張るだけ収入を得ることができるため、やりがいが感じられるでしょう。
独立開業のために資格取得を目指していたのに、いつしか資格取得が目的となり、資格が取得できずに独立開業のタイミングを逃す、というケースは少なくありません。資格がなくても独立開業はできますので、視野を広げて考えてみてはいかがでしょうか。
【資格と独立】まとめ
今回は、独立開業する上で資格取得が必要になるのか、資格を取得していると起業には有利なのかについてご紹介してきました。
資格がなければ開業できない仕事もありますが、独立開業する上で、資格をこれから取得して始めるとなるとハードルも上がります。また、資格があれば安泰という時代でもなく、資格を取得したうえでさらに競争を迫られるくらいなら、最初から資格がなくても独立開業できる仕事を選ぶというのも、合理的な選択といえます。
資格がなくても独立開業できる仕事としてご紹介した結婚相談所ビジネスは、資格が不要なうえ、ほとんどの人が業界未経験からのスタートです。これまでの人生経験を活かして、独立開業の夢を実現することができます。
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