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婚活寓話「なぜ結婚したいの?」(前編)

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婚活カウンセリングのリアルラブ「婚活寓話「なぜ結婚したいの?」(前編)」-1

目次

  • 婚活メンター・早川とのセッション
  • 結婚、それは「目的」か「手段」か?
  • 結婚を「ありありと」想い描けていますか?
  • 理想の結婚像が浮かばない……

婚活メンター・早川とのセッション

広告会社に勤務する32歳の奈々は、婚活を始めたばかりだった。20代半ばの恋愛は苦い思い出になり、それ以来、恋愛に対して慎重になっていた。しかし、気づけば周囲の友人たちは次々と結婚。焦りを感じた彼女は、噂を聞きつけて、婚活メンター・早川の元を訪れた。

 「先生、私、結婚したいんです。でも……本当に結婚したいのか、考えれば考えるほど、自分でもよくわからなくて……」

 早川は微笑んで、静かに問いかけた。

 「奈々さん、なぜ結婚したいのか、一緒に考えてみましょうか?」

結婚、それは「目的」か「手段」か?

「親が結婚しろとうるさいんです」

 「世間的に独身だと肩身が狭くて……」

 「独りは老後が不安だし……」

 奈々は次々と答えたが、どれも自信がない様子だった。 早川はゆっくりと頷き、エーリッヒ・フロムの言葉を引いた。

 「成熟した愛とは、『必要だから愛する』のではなく、『愛するから必要とする』のです。たとえば、長年連れ添う夫婦がいます。お互いが最初から“必要”だったわけではありません。むしろ、一緒に過ごす時間を重ね、信頼と愛情を育むことで、なくてはならない存在になっていったのです。あなたは“必要とされたい”と思うあまり、焦っているように感じます。」 「奈々さん、あなたの結婚願望は、本当にあなたの心から湧き出たものですか? それとも、周囲の期待や不安から生まれたものですか?」 奈々は黙り込んだ。

 恐れのモチベーションが作り出す婚活の罠 

「焦りは一時的なエネルギーをくれますが、それは持続しません。心理学では、これを『ネガティブ・モチベーション』と呼びます。」

 早川はゆっくりと語り始めた。

 「例えば、ライオンに追われているとき、人は必死に逃げるでしょう。それは生存本能として正しい。でも、その状態が続いたらどうなりますか?」

 「それは、婚活でも同じです。『次のチャンスはないかもしれない』という焦りで動くと、相手を冷静に見極める余裕を失ってしまいます。本当は、自分に合わない相手でも、焦っているからこそ『この人でいいかも』と錯覚してしまうんです。」

 「疲れ果てて、結局は捕まってしまうかもしれません……」

 「そう。それと同じで、恐れを原動力にして婚活すると、必死に動いているようで、実は余裕を失ってしまう。結果、選択を誤る可能性が高くなるんです。」

 奈々は、かつての苦い恋愛経験を思い出した。あのときも、「この人を逃したら次はないかも」と焦っていた。その結果、相手に合わせすぎて自分を見失い、結局傷ついたのだった。

 「でも、何もせずにいるのは不安です……」 「もちろんですとも。不安は悪いものではありません。ただし、不安に振り回されて行動するのではなく、不安を『気づき』のきっかけとして使うことが大事ですよ。」

 「たとえば、結婚して幸せに暮らしている人たちは、最初から不安ゼロで進んだと思いますか?」

 奈々は驚いたように首を振った。

 「むしろ、不安や迷いがあるからこそ、一歩ずつ相手と向き合いながら関係を育んでいけるんです。大事なのは、不安に流されず、自分が望む方向に向かうこと。」

結婚を「ありありと」想い描けていますか?

結婚後の自分を、具体的に想い描いたことはありますか?」

 奈々は首を振った。

 「どんな家に住んで、誰と一緒にいて、どんな会話をして、あなたは日々、どんな気持ちで暮らしているのか?」

 「……考えたこともなかったです。」

 「イメージが鮮明で、リアルであればあるほど、それは実現に近づきます。脳科学の分野でも、ビジョンの明確化は行動の原動力になると証明されていますよ。」

 奈々の顔に、少し光明が差した。心の中に、小さな希望の芽が生まれたような感覚があった。

 「では、想像してみてください。」

 早川が静かに言う。

 奈々は目を閉じた。これまで結婚を『しなければいけないもの』と考えていたが、今は少し違った。温かい陽光、穏やかな時間が流れ、安心感のある日常——そんな未来がふと心に浮かんだ。

 それは義務ではなく、誰かと一緒に創り上げるものかもしれない。心の奥にじんわりと染み込む感覚に、奈々はそっと微笑んだ。

 「ある朝、あなたは窓を開けて柔らかい光を浴びる。隣には大切な人がいて、コーヒーを淹れながら穏やかに微笑んでいる。今日の予定を話しながら、何気ない時間を一緒に過ごす……そんな日常が心から幸せだと思えるとしたら?」

 奈々は目を閉じた。これまで焦燥感の中でしか結婚を考えられなかった。けれど、今、ふと胸の奥が温かくなった。

理想の結婚像が浮かばない……

「でも、理想の結婚像が浮かばなくて……」 「ならば、まずは『リラックスしている自分』をイメージしましょう。」

 早川は穏やかに言った。

 「心地よい空間で、ふっと力を抜いて、隣に誰かがいる……そんなリアルな感覚です。」 「実際に、長年連れ添うカップルは、こうした小さな心の安定を大切にしています。理想的な結婚生活は、特別な瞬間ではなく、日々の穏やかさの積み重ねなのです。」

 奈々は深く息をついた。

あなたは、なぜ結婚したいのか?

「結婚しなければ、ではなく、結婚したい——そう思えるようになりたいですね。」

 奈々の表情は、少し和らいでいた。

 「その時こそ、あなたの婚活は、本当の意味で動き出しますよ。その第一歩として、今週末にでも、お気に入りのカフェで一人時間を楽しみながら、自分が心からリラックスできる場所や、人との関わりを見つめ直してみませんか?」

 奈々は静かに頷いた。

 「まずは、今の自分にとって大切な幸せの形を、一緒に探していきましょう。」

 もしあなたが、奈々のように迷いながらも本当の幸せを見つけたいと思っているなら、一度じっくりお話ししませんか?リアルラブは、「焦りを手放し、自分にとって本当に大切な未来を描く」お手伝いをします。あなたの理想の人生、私共と一緒に見つけていきましょう。

(明日の後編につづく)

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