寓話：婚活投資の極意

公開メンタリングの幕開け

「お招きありがとう！婚活メンターの早川です。さて、今日のゲストは……」

早川は舞台中央の椅子を、まるで宝物を指し示すかのように指差す。

「婚活歴5年、大手IT企業のシステムエンジニア。恋愛経験？ それは守秘義務、漏らしちゃうと株価が暴落するからね。（笑）ライブと舞台の推し活に情熱全開のエンタメ女子――皆、盛大な拍手を！」

観客のざわめきが一瞬の静寂の後、33歳の女性・奈央（仮称）がステージに登場。恥じらいとワクワクが混じる眼差しで、彼女は一歩前へ。

「奈央、君の婚活、まるで長期株のようだね？」

「……はい。途中で休むこともあって、もう5年目です。」

「じっくりホールドしてきたのは認める。でも今日は、君の婚活ポートフォリオに、まさに“新規株式公開”のエッセンスを加えよう。」

奈央は驚きつつも、笑いを浮かべる。

「投資、経験ありますか？」

「ええ、宝くじなら買ったことありますが……。笑」

「実はね、君はすでに人生最大のIPO、すなわち結婚に投資してるんだ。ただし……」

早川はニヤリと微笑み、まるで秘密のインサイダー情報を暴露するかのように手を広げる。

「今のやり方じゃ、まるで低利回りの預金状態かもしれないね。」

観客がクスクス笑いに包まれる中、舞台の空気が一気に和んだ。

投資と婚活の共通点

「まず、投資の基本は『種銭』。つまり、自己投資だ。君は自分にどれだけ資金注入してる？」

「仕事でスキルアップには熱心に取り組んでいます。」

「それはいい。しかしここでの自己投資は、婚活市場での『ブランド力』アップ。たとえば奈央、デート中に相手へどれだけ『興味エネルギー』をばら撒いている？」

一瞬、場内にシーンとした空気。

「『まだ、そんなに好きじゃないし』なんて、心の声をまさかダダ漏れさせていないよね？」

「……あら、バレてました？少しはね。笑」

「そこだ！ 婚活で成功するには、推し活のスイッチをオンにして、『全開モード』で相手に興味を注ぐんだ。君の人生の目標は『幸せになること』。つまり、恋愛も株式投資も、リスクとリターンのダンスなんだよ。」

奈央の瞳に、あたたかな笑いと共にひらめきの光が走る。

“利回りの良い婚活”とは？

「結婚は、まさにハイリターンな高配当投資。」

早川はホワイトボードに、サクッと流れるように文字を刻む。

「結婚から得られるリターンは、安らぎ、信頼、喜び、そして日々のモチベーション。しかし、どんな投資も戦略がなければ、ただの無駄なチョーク投資と変わらない。」

「戦略……ですか？」

「まず、目の前の相手に惜しみなくエネルギーを注ぐ。もし魅力を感じられないなら、それは君の『投資金額不足』かもね。」

「……え、そんな見方もあるんですか？」

「奈央、君は今まで何度も相手の魅力を探し求めた。しかし、まるで最新のデジタルガジェットを前に、男性がついてこれなかったことはないか？」

「確かに、ついつい相手の知性に合わせようとして、自分の本音を抑えちゃうんです。」

「それこそが、君の『高速回転脳』の罠。知性をセーブしすぎると、本来の自分という優良銘柄を見失ってしまう。そこで提案だ。『相手に魅力を感じる』努力より、『自分が楽しく、輝く会話』を追求するんだ。そうすれば、君の真価がみんなに伝わるはずさ。」

奈央は、まるで新たな取引先と契約したかのような輝きを見せる。

「……それ、斬新です。」

「これこそが、利回りの良い婚活の黄金法則だよ。」

幸せを築く“投資家”になる

「奈央、これまで相手の顔色ばかり伺って、本音を引っ込めていなかった？」

「……ありますね。しょっちゅうです。」

「それは、投資界で言うところの『リスク回避症候群』。でも、リスクなくしてリターンはない。リターン狙いなら、時には大胆な一手が必要なんだ。」

「……！」

「たとえば、お見合いやデートで、自分の本音を隠してしまえば、相手も『奈央の本当の価値』を見抜けない。立てるのは良いが、過剰な気遣いはまるで市場での自社株買いのタイミングを逃すようなものさ。」

「なるほど、自己表現を抑えるのは損失につながるんですね。」

「だからこそ大事なのは、『ふたりで真の幸せを築くために、何が必要か』を堂々と伝える力だ。言いたいことをため込むのではなく、対話という取引で、価値を共有するんだ。」

早川はホワイトボードに、シンプルかつ力強く記す。

幸せな結婚＝価値観の共有 × コミュニケーション × 自己表現

奈央は心から頷き、次の一手を見出す。

自己分析と成長のチャンスをつかめ！

「お見合いや仮交際は、まさに『投資の実験場』だ。」

「実験場って……？」

「そう、ここで初めてのデイトレードを試すんだ。適当に流すのではなく、『どんなコミュニケーションが自分のポートフォリオにプラスか』を見極めるチャンス。これは、ただの出会いではなく、セルフブランディングの絶好の実験室だ。」

「今まで『いかに失敗しないか』ばかり気にしていましたが、自分の魅力を磨く場として捉えると、全く違った戦略が見えてきますね。」

「その通り。婚活市場は、ただのデートアプリじゃない。自己分析と成長のチャンスがぎっしり詰まっているんだ。ここでの一歩一歩が、未来の幸せな結婚生活への布石になる。」

早川は、会場を見渡しながら、軽妙な笑みを浮かべる。

「さあ、今こそ君の婚活市場で最高のタイミングをつかむ時だ。ここでの学びと実践は、未来の幸せに絶対のプラスアルファとなる。今を全力で楽しむことが、未来の高配当への近道なんだよ。」

観客からは万雷の拍手が巻き起こり、奈央も晴れやかな笑顔で応える。

「……早川さん、ありのままの自分で全力投資、始めてみます！」

「それでこそ、真の婚活投資家だ！さあ、笑いと知性の取引を存分に楽しんで！知性を隠すな！」

幕が下り、会場は次なる投資の夢に胸躍らせる喧騒のフィナーレを迎えた。

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