総理大臣を目指す男の婚活【前編】
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目次
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総理大臣を目指す男の婚活【前編】
秀政さん(仮名)は出身は地方の郡部で育ち、地元では小学校時代から神童と崇められ、成績は小学校、中学校と主席で中学校では生徒会長も務めた。高校は県で一番の私立の進学校に入学し、そこでも成績は上位をキープし、東京大学文科Ⅰ類(法学部)に進学した。
大学受験の際には地元選出の衆議院議員からネクタイをプレゼントされるなど地元の期待を一身に集めていた。
女性には興味はあったが、受験を優先して関心がないふりを装った。東大入学後も司法試験の勉強と並行してキャリア官僚になるための勉強に勤しんだ。司法試験は第一段階の短答式試験にしか合格できなかったが、無事志望していた官庁のキャリア官僚として採用された。
秀政さんには郡部出身というコンプレックスと共にそれをパワーに豊臣秀吉のように成りあがって、ゆくゆくは衆議院選挙に出馬して代議士、ひいては総理大臣になりたいという野望があった。
「国のために命を削ることは苦にならない」との信念で深夜まで働き詰めで30歳を超える頃には出向した地方自治体の課長を担い、40歳手前には本省の課長級を狙える位置までつけた。
秀政さんに一つ欠けていたのが、妻の存在だった。幼少期から野心家だった彼にとって結婚もステップアップのための手段だった。
大物政治家の娘さんと政略結婚という模様図を描いていた。実際、縁談のチャンスは何度かあったが、プライドの高い秀政さんの性格も相まっていずれも破綻となった。
妻となる女性には「専業主婦となる、器量よし、男性の一歩後ろを歩ける、更には学歴」と求める条件が多いうえに、
結婚はギブアンドテイク、自分が相手のために何かしてあげたいという思考が欠けていた。
「家庭にお金だけ入れておけば文句を言わないだろう」という男尊女卑の古典的考えの持ち主だったので、いずれもお相手から断わりを入れられてしまったのだ。
物心ついた頃からキャリアを重ねることばかり考えていたので恋愛経験もほとんどなく40歳にして女性と拙いコミュニケーションしか取れない自分であることに気付いた。
【後編】に続く
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