色の記憶
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目次
- 違う者同士の夫婦
- 分かろうとする努力が大切
違う者同士の夫婦
私の記憶に色がついていない事に気付いたのは、多分妻と結婚した後のことだったと思う。
「ねぇ、覚えてる?昨日デパートで見たベージュのワンピース。」
「え、あ~、どれだったかな?いろいろ見たから・・・」
「ベージュのは1種類しかなかったでしょ!あれ、やっぱり買った方が良いかな?」
「・・・」
「ゲートタワーで見たでしょ。エレベーター・・・」
妻は必至に思い出させようと説明を続ける。私の妻は色の感覚が異常に鋭い。美大出身だし、高校生から美術の専門課程のある学校だったので、色を見分ける訓練を若い頃から積んでいるのだそうだ。
それに比べて私など、ベージュなど白と一緒だ。何故世界にはこんなに沢山の種類の白や赤があるのだろうか。
「あの赤い看板見て!」
ある日、私が言うと妻が答えた。
「あれば赤じゃなくてオレンジっていうんだよ。」
オレンジは赤ではないということに私は少し驚く。色というのは電磁波の波長の長さによって決まり、赤外から紫外まで連続的に赤と青の濃さ波長が1対1に対応している。世の中にある光は赤と青の短波長の電磁波が異なる振幅で混ざった合成波であり、物質から反射して目で知覚される合成波の波形で何色に見えるかが決まる。でもざっくりいえば、短波長の光は半分より長波長にあれば赤、短波長にあれば青というのであり、その他の色は赤と青の配合の比率に過ぎない。
だから本当はこの世には赤と青しかないのだ。
良く考えてみれば私の記憶には色がついていない。これは妻とこんなやり取りをしていて気付いたことだ。それ以前は、自分の記憶に色がついていないということ自体を意識することすらなかった。私にとって重要なのは形であり、色を意識することはあまりない人生だった。だから子供から大人になる成長のどこか過程で、色を記憶するということを辞めたのだと思う。
色まで覚えたら、色んなことを覚えきれない。
こんな風に、違う者同士が家族になるのが結婚だ。
素敵なことではないだろうか。
結婚しなければ気付かないことに沢山気付くことができる。
分かろうとする努力が大切
しかし誤解も生じる。
だから、お互いに誤解を避けようとする努力が必要だ。魔法使いではないから相手が何を考えているか、聞かなければ分からない。
だから聞こう。
「あなたには、これがどんな風に見えているのですか?」
「あなたなら、こんな時どうしたいと思うのですか?」
聞き方が分からなかったら、私に相談してください。一緒に考えます。
え、その聞き方が分からない?
「何て聞いたら、いいですかね?」
って聞いていください。
ちみにこの世に匂いは3種類しかない。
この話はまた今度にしましょう。